小諸 里山の愉しみ

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2008年 08月 27日

蠅と萬葉集

蠅と萬葉集_b0120165_2281610.jpg

蠅の上手い取り方があるんですよ。
両手をそ〜っと両側から壁のようにして、近づけていきます。蠅は上からの反応には敏感ですが、横からの認識はそれに比べて鈍いようで、よほど近くまで両手を近づけられます。それから、パシッ。
さて先日の朝も、いつも通り萬葉集を読んでおりますと、蠅が何回もしつこく寄ってくると。そこで読んでいたページの上に停まって手などすりすりしながら生意気に和歌など読み始めたところを狙って、そおっと掌の壁を両側から近づけていき・・・パシッ!
こんなことは初めてでしたが、見事に数ページ分が挟み込まれてピッと、ページの中央部に折れ線が出来てしまいました。
人それぞれ世に嫌なものってあることでしょうが、すろうりぃ輩にとってその一つは、本のページが折れていることです。どんな本であろうと、折れているページがあったら必ず開いてまいりました。それが、こともあろうに、紙質、装丁、活字、活字組みな気に入っているこの本のページを折ってしまうとは!
思わずページをなでなでしてしましたが、折れ線は消えないことでした。あ〜あ。
さて、気を取り直して、その萬葉集、ただいま巻十一を読んでいる最中ですが、この巻がまたべったり相聞歌(そうもんか)つまりはラブソングオンリーで、しかもパターンが乏しく、黒髪を濡らして一人ねたことでしたとか、あんまり世間の噂がひどくて、会いにいけないとか、こんなんばっかりなんですよ。これを朝読むんですからね。
じゃあ、読まなきゃいいだろって、思う方も多いでしょ、きっと。それが、カバー・ツウ・カバ━派(つまり、読む本は、どのような本であっても、表カバーから裏カバーまで)には、できないんです。悲しい性とお思い下さい。
では最後に、その問題の折れ線の入ってしまったページの歌を一つ。
  妹が袖 別れし日より 白たえの
  衣片敷き 恋ひつつそ寝る  (巻十一 2608)
             (よだ はえをばにくくそおもほゆる すろうりぃ記す)

by satoyama-06 | 2008-08-27 23:36 | 読書・書籍


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