小諸 里山の愉しみ

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2007年 10月 29日

田島征三さんの『しばてん』

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 では週始めはすろうりぃからでございます。何やら話に聞き及んだところでは、最近すろうりぃの文章が短めになって読みやすくなったと喜んでいる向きもあるとか。う〜ん、う〜ん。
 さて読書週間シリーズで、今回は田島征三さんのデビュー作『しばてん』です。この作品のいきさつにつきましても直接・間接に聞き知りましたが、大学卒業後数年、征三さんは栄養失調で死ぬか生きるかくらいに食えないでいた時期だったそうですが、その時のまさに起死回生の作です。最初手刷りで十部ほど作ったそうですが、原稿を出版社に持ち込むと、こんな暗い色調のもの、売れっこないだろとさんざんに言われ、ようやく真価を認めてくれた偕成社から出せたそうです。
 この絵本、読めば読むほど物語の階層性の深みと、繪の迫力に圧倒されます。1971年第一刷ですが、たぶんこの絵本はこどもたちにずうっと変わらぬ衝撃を与えるのではないでしょうか。
 ずうっと以前の話になってしまいますが、うちの高校生女子がまたあどけない、可愛らしい、愛くるしい、優しい、無邪気な、くちを聞かない幼稚園女子か、小学低学年女子であったころ、これを読んで聞かせましたら、ひどく驚いて、せがまれて続けてもう一度読んだのをよく憶えています。
 この世で生きるのに、きれい事、楽しいことだけではすまない。でもひとの悲しみを改めて知って生きるとき、チャンスがあるということを言っているようにすろうりぃ輩には思えます。これはまさに見る思想書と言っていい!
 そんな難しそうなこと、こどもに分かるのかというご意見もあると思うのですが、分かる!とすろうりぃ輩は思うんでございますよ。(よだ こんかいはながい? すろうりぃ記す)

by satoyama-06 | 2007-10-29 20:29 | 読書・書籍


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